クラウドPBXがBCP対策に最適な理由|緊急時の電話問題を解決
地震・水害・台風などによる災害や、新型ウイルスの流行などの緊急事態に備えるため、企業に必要なのが「BCP対策(事業継続計画)」。
数あるBCP対策のうち、クラウドPBXは電話業務の継続において効果的なBCP対策の一つです。
クラウドPBXを導入すれば、緊急事態によりオフィスに出社できない状況でも自宅で電話応対ができるため、万が一の際に事業が止まるリスクを軽減できます。
そこで本記事では、「クラウドPBX」と「BCP対策」について以下の点をまとめました。
- BCP対策とクラウドPBXの基本
- クラウドPBXがBCP対策に最適といわれる理由
- BCP対策だけではないクラウドPBX導入のメリット
クラウドPBXの必要性をしっかりと把握した上で、自社に最適なサービスを導入したい方にとって有益な情報をお伝えするため、該当する方は最後まで必見です。
いま注目の「BCP対策」と「クラウドPBX」を解説
クラウドPBXがBCP対策として役立つ理由を挙げる前に、まずは簡単に「BCP対策」と「クラウドPBX」のそれぞれの基本をおさらいしておきましょう。
いま企業に求められる「BCP対策」とは?
「BCP対策(事業継続計画)」とは、「いかなる状況下でも事業を継続できるよう計画を立てておくこと」を意味します。
地震や台風などの災害が発生すると、停電や物流ストップが起きて、工場やオフィスでの作業が止まってしまう恐れがあります。
あるいはテロ攻撃やサイバー攻撃など人為的な災害が発生する場合も、事業に悪影響が出る危険が高いです。
このような緊急事態を見越し、被害を最小限に抑えて、事業を早く復旧させられるよう計画することが「BCP対策」です。
BCP対策を確立しておくかどうかで事業に及ぶ被害の規模が左右されることから、近年、国や自治体はBCP対策に力を入れており、支援策も打ち出しています。
- 特に日本は地震をはじめ自然災害が多く、いつ未曾有の事態が起きるか分かりません。国土交通省によると、日本列島には多くの活断層やプレート境界があり、世界で発生するマグニチュード6以上の大地震の約2割が発生します。
大規模な災害が起きれば、多少なりとも被害が出るのは避けられませんが、BCP対策を確立しておくことで、少しでも被害レベルを落とせます。
なお副次的なメリットとして、BCP対策をしっかり打ち立てている企業は、緊急時にも適切な対応ができる可能性が高いことから社会的信用が高まりやすいでしょう。
このようにBCP対策に重点を置くことは、企業にとって大きなプラスとなります。
画期的な電話システム「クラウドPBX」とは?
BCP対策に含められる内容はさまざまですが、通信に関係する施策として注目されるのが「クラウドPBX」です。
クラウドPBXは、従来のビジネスフォンの弱点をカバーする優れた電話システムで、BCP対策との相性が高いです。
どのようにBCP対策に寄与するのか詳しくは後述しますが、導入することで、社内での連絡体制は大きく改善されます。
さらにクラウドPBXはBCP対策としてだけでなく、ほかの面でも大きなメリットをもたらします。以下はその一部です。
- 電話機や配線工事不要で初期費用を削減できる
- 複数拠点の内線化で通話料を大幅削減
- 台数の増減によるオフィスのレイアウト変更も簡単
- 音声ガイダンスやネットFAXなどの便利機能も使える
これらのメリットについては後述します。
BCP対策を確立したい企業はもちろん、通常の電話業務を効率化・低コスト化したい企業にとっても、クラウドPBXは注目の電話システムです。
クラウドPBXの仕組み
クラウドPBXは、「ネットワーク(クラウド)上にある主装置を使って、電話の発着信を行う電話システム」のことです。
従来のビジネスフォンの場合、主装置はオフィス内に設置されるのが通常です。
主装置はそれぞれの固定電話機と電話回線で接続され、そこから発着信が行われます。
同じ主装置に接続された固定電話機同士は内線通話が可能で、オフィス内での連絡は内線ですみます。
しかしオフィスの外に固定電話機は持ち出せないため、オフィス内の社員と外出中の社員が内線で連絡することはできません。
外出中の社員は携帯を使い、「外線」でほかの社員と連絡を取らなければならないため、通話料が発生します。
一方、クラウドPBXではネットワーク上に主装置の機能を置き、インターネット回線で各端末と接続します。
インターネット回線は有線だけでなく、Wi-Fiやモバイル回線(4Gや5Gなど)などの無線でも通信できます。
そのためクラウドPBXでは、固定電話機だけでなく、スマートフォンも電話機として利用可能です。
つまり、インターネット回線に接続さえすれば、固定電話機の代わりにスマートフォンが使えるようになり、どこからでも電話業務ができるようになります。
また外出先からオフィスに「内線」をかけたり、出張先から顧客に会社代表番号で発信したりするなど、従来オフィス内でしかできなかった業務を、場所を問わずに行えます。
- さらにオフィスへの着信を外出中の担当者に転送するときも、内線扱いなので転送通話料がかからずにすみます。このように、クラウドPBXにより「スマホ内線化」が可能になることで、前述のようにさまざまな恩恵を受けられます。
クラウドPBXがBCP対策に最適といわれる理由
ここからは、クラウドPBXがBCP対策に最適といえる理由として、以下の点を解説します。
- 緊急時でもネット環境があれば電話が使える
- 自宅でも会社代表番号で発着信や内線通話が可能
- オフィスが被災しても設備や機器の復旧が不要
- 災害時に増大するコールにも柔軟に対応できる
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
緊急時でもネット環境があれば電話が使える
クラウドPBXがBCP対策に最適な理由は、インターネットが使えさえすれば電話を利用できるからです。
前述のように、電話回線で接続されている必要はなく、無線でも有線でもインターネットさえ確保できれば使えます。
インターネット回線は、電話回線と比べると「災害に強い」といわれています。
地震・台風など大きな災害が発生するとき、電気・ガス・水道・電話といったインフラが停止するなかで、インターネット回線を確保できる場合は多いです。
実際、大手携帯キャリアが提供している「災害用伝言板(安否情報確認サービス)」にもインターネット回線が使われるなど、緊急時にインターネットは活躍します。
近年では5Gが少しずつ拡充してきていますが、今後はモバイル回線におけるインターネット利用がますます便利になることでしょう。
インターネット回線がつながっている限り、端末故障など特殊な状況を除いてクラウドPBXも利用できるため、BCP対策に役立ちます。
災害時に使える無料Wi-Fi「00000JAPAN」で通話が可能
クラウドPBXはインターネット回線があれば利用できると説明しましたが、オフィスや自宅のインターネットサービスが使えなくなる事態も想定されます。
そうなると、通常のインターネット接続はできません。
そのとき役立つのが、「00000JAPAN」です。
これは、災害時に被災者がインターネット接続できるよう、通信キャリアが無料で開放する無線インターネットサービスのことです。
「00000JAPAN」が開放されると、認証手続きなしにインターネットへ接続できるため、オフィスや自宅のインターネットが使えなくても問題ありません。
注意点として、クラウドPBXは主装置ではなく「VoIPゲートウェイ」と呼ばれる機器を設置するかしないかで、大きく分けて以下の2種類に分けられます。
- オフィスに機器を設置しないタイプ(完全クラウドPBX)
- オフィス内に機器を設置するタイプ(機器設置型クラウドPBX)
完全クラウドPBXは、電源を必要とするVoIPゲートウェイがオフィス内にないため、停電時でもクラウドPBXサービスを使えます。
一方、機器設置型クラウドPBXの場合、オフィスにVoIPゲートウェイを設置し電源を供給しなければなりません。
停電で電源供給が途絶えると、サービス利用に支障が生じます。
そのため万が一に備え、UPSなど非常時に電源を確保できる装置を用意しておくのが無難でしょう。
- 停電時や機器が破損をした場合に備えたい場合は「完全クラウドPBX」がいいでしょう。一方、「機器設置型クラウドPBX」は、既存の会社代表番号を引き継げるなど優位な点があるため、総合的にはこちらのほうがおすすめです。
自宅でも会社代表番号で発着信や内線通話が可能
クラウドPBXがBCP対策に最適である別の理由は、自宅でも会社代表番号で発着信や内線通話が可能だからです。
従来のビジネスフォンだと、オフィスの外へ固定電話機を持ち出せず、自宅から会社代表番号で顧客や取引先に発信できません。
手元の携帯から外線をかけるしかなく、相手には携帯番号が通知されます。
ほかの社員に連絡する場合も、内線ではなく外線での発信となり、通話料がかかってしまいます。
クラウドPBXだと、スマートフォンを固定電話機のように使えるため、自宅からでも会社代表番号で発信することが可能です。
顧客や取引先には、携帯番号ではなく会社の番号が表示されます。
さらにほかの社員に連絡する場合は、内線となり通話料0円で発着信できます。
つまりクラウドPBXだと、自宅からオフィスと同じ感覚で電話業務ができるのです。
災害やテロなど緊急事態が発生したときは、交通インフラがまひして出社できなくなる恐れがあります。
そうなると、オフィスで電話業務をすることはできませんが、クラウドPBXであれば場所に関係なく電話業務を継続できます。
オフィスが被災しても設備や機器の復旧が不要
クラウドPBXとBCP対策の相性がよい理由には、オフィスが被災しても設備や機器の復旧が不要であることも挙げられます。
オフィスになんらかの物理的被害が発生した場合、内部の設備も破損してしまう恐れがあります。
従来のビジネスフォンだと主装置がオフィス内に設置されていますが、主装置が壊れてしまえば電話システムは使えません。
電話線が切断されたり、固定電話機が壊れてしまったりすれば、買い替えや復旧作業が必要です。
主装置の被災に伴い、データ復旧が難しくなるケースもあるでしょう。
この点クラウドPBXは、機器の故障に関する心配がビジネスフォンほどありません。
特に完全クラウドPBXについていえば、オフィス内に物理的な機器(VoIPゲートウェイ)が設置されないため、そもそも故障とは無縁です。
機器設置型クラウドPBXでも、小ぶりなVoIPゲートウェイがあるくらいで、ビジネスフォンのように主装置や多数の固定電話機の破損は心配されません。
各種データもクラウドPBXのシステムで保管されているはずなので、被害は最小限に抑えることができます。
災害時に増大するコールにも柔軟に対応できる
クラウドPBXがBCP対策に最適なのは、災害時に増大するコールにも柔軟に対応できるからでもあります。
災害時には、顧客や取引先から企業のサービスについて問い合わせが急増する可能性があります。
対応するには、電話設備を拡大する必要が生じるかもしれませんが、ビジネスフォンではそれが難しいでしょう。
固定電話機を増やしたり配線を取り回したりする必要があり、スピーディーにそれらの作業を実施するのは簡単ではないからです。
しかしクラウドPBXの場合、社員のスマートフォンを使って対応人数をスムーズに増やせるため、急増する問い合わせにしっかり対処できます。
BCP対策だけではないクラウドPBX導入のメリット
クラウドPBXを導入するメリットは、BCP対策だけにとどまりません。
ほかにも、以下のようなメリットがあります。
- 電話機や配線工事不要で初期費用を削減できる
- 複数拠点の内線化で通話料を大幅削減
- 台数の増減によるオフィスのレイアウト変更も簡単
- 音声ガイダンスやネットFAXなどの便利機能も使える
それぞれのメリットを解説します。
電話機や配線工事不要で初期費用を削減できる
クラウドPBXではスマートフォンを電話機として活用できるため、固定電話機や面倒な配線工事が必要なビジネスフォンと比べて導入に要する初期費用を大きく削減できます。
従来のビジネスフォンの場合、主装置や固定電話機を揃えるのに数十万~数百万円かかることもめずらしくありません。
クラウドPBXでも初期費用がかかりますが、ビジネスフォンと比べると低コストです。
主装置の設置も電話回線の配線工事は必要ありません。
ベンダーのなかには、キャンペーンなどで初期費用が無料になるところもあります。
また社員のスマートフォンを電話機として使えるため、電話機代も浮きます。
新規オフィスを立ち上げる際に通信関連コストが気になる場合でも、クラウドPBXは導入ハードルが高くありません。
複数拠点の内線化で通話料を大幅削減
クラウドPBXでは、拠点間の連絡をするのにコストがかかりません。
従来のビジネスフォンだと、拠点ごとに主装置を設置し、拠点間の連絡は内線ではなく外線をかけて行われることがあります。
Zoomなどビデオ会議ツールを利用して無料で拠点間の会議を行うことはできますが、ちょっとした要件であれば、外線をかけて対応する企業も少なくないでしょう。
1回の外線通話料はわずかだとしても、積もり積もって大きなコストになる恐れがあります。
クラウドPBXを導入すると、拠点間通話がすべて「内線化」するため、どれだけ通話をしても無料です。
拠点間だけでなく、もちろん以下のようなケースでも、すべて無料通話になります。
- オフィス内の社員と外出中社員の通話
- テレワーク中の社員同士の通話
- オフィスにいる社員と海外出張中の社員の通話(対応国の場合)
今まで通話料が発生していた多くの通話が、無料で行えるようになるため、コスト削減をしたい企業にも最適です。
台数の増減によるオフィスのレイアウト変更も簡単
クラウドPBXを導入すると、台数の増減によるオフィスのレイアウト変更も簡単に行えます。
クラウドPBXは社員のスマートフォンを電話機として利用できるため、固定電話機の導入スペースを気にする必要がありません。
また、インターネットさえつながれば場所を問わず電話業務ができるため、出社する必要は必ずしもありません。
コール対応の窓口を増やしたい場合は、対応するスマートフォンを増やせばよいだけで、対応する社員は自宅からコールを受け取れます。
反対に、コール対応の窓口を減らしたい場合は、サービスに登録するスマートフォンの数を減らせばよいだけです。
このようにクラウドPBXのシステムでは、電話機の増減が簡単に行えるため、それに伴いオフィスのレイアウト変更もフレキシブルに行えます。
例えば、主装置や固定電話機のスペースがなくなる分、フリーアドレスの座席を導入できるかもしれません。
あるいは、ビジネスフォンからクラウドPBXへ切り替える際、固定電話機のスペースが空く分、賃料の安いオフィスへ移る選択肢もあります。
音声ガイダンスやネットFAXなどの便利機能も使える
クラウドPBXの中には、基本的な通話機能のほかに、音声ガイダンスやネットFAXなどの便利なオプション機能を搭載しています。
例えば、以下のような機能が挙げられます。
- 音声ガイダンス(IVR):自動音声により、適切な担当者や部署へ着信を振り分けられる機能
- ネットFAX:スマートフォンやPCでFAXの送受信を行える機能
- CTI:着信時に顧客情報をPCなどに自動表示させられる機能
- 通話録音:通話の録音データをクラウド上に保存できる機能
- 勤怠管理システム:スマートフォンで出退勤などの管理ができる機能
従来のビジネスフォンでは使えない便利機能も利用できるため、業務効率化にもつながります。
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まとめ
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