クラウドPBX・オンプレミス型PBXを8つのポイントで徹底比較
電話システムにおいて重要なPBXには、「クラウド型」と「オンプレミス型」が存在します。
簡単に説明すると、オンプレミス型は従来のビジネスフォンのように社内に設置する物理的な装置である一方、クラウド型は、クラウド上でPBXの機能を果たす最新のタイプです。
近年、社内にPBXを設置しないクラウド型、すなわち「クラウドPBX」への移行を始める企業が増えていますが、自社ではどちらが向いているのかお悩みの企業も多いはず。
そこで本記事では、オンプレミス型PBXとクラウドPBXとの違いを8つのポイントからわかりやすく解説します。
さらにそれぞれがおすすめの企業の特徴もまとめておりますので、自社にとって最適な電話システム選ぶためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
オンプレミス型PBXとは?
まずは言葉の意味を理解するために、オンプレミス型PBXを「オンプレミス」と「PBX」の2つの言葉に分けて解説していきます。
- 「オンプレミス(on-premises)」:日本語で「施設内で」という意味を指します。
- 「PBX」:「Private Branch Exchange」の略で、固定電話の回線網を利用して、オフィス内の電話機で内線・外線・転送機能を利用できるようにする装置。
つまり、オンプレミス型PBXとは、社内に設置して使用するPBXのことです。
PBXとオフィス内の固定電話機を配線で繋ぐことで、内線や外線の発着信、転送が可能になります。
またPBXに収容する回線の種類は、電話回線とインターネット回線の2つ。
大きく分けて、電話回線を使用したものはそのまま「PBX」、インターネット回線を使用したものは、「IP-PBX」と呼ばれます。
オンプレミス型PBXのメリット
オンプレミス型PBXを利用するメリットは、以下のとおりです。
- カスタマイズ性が高い
- 外部サービスと連携させやすい
この中でもオンプレミス型PBXの1番のメリットは、カスタマイズ性が高いこと。
自社内に機器を設置するため、スペースと予算さえあればさまざまなことが実現可能になります。
例えば、不正アクセスからのサイバー攻撃に備えたセキュリティ強化や、アクセス増加にともなう高負荷に備えて高性能なシステムを構築しておくなど。
さらに、業務で利用する他のサービスとも連携させやすいので、自社のシステムに合わせた設計ができる点がオンプレミス型PBXのメリットといえるでしょう。
オンプレミス型PBXのデメリット
オンプレミス型PBXのデメリットは、以下のとおりです。
- 導入費用が高い
- 導入完了まで時間がかかる
- ランニングコスト(保守費用)が必要
- 拡張性が低い
オンプレミス型PBXの大きなデメリットは、全体的なコストの高さです。
自社内に主装置を設置するため、主装置本体の費用はもちろん、設置や配線にともなう工事費、電話機の設置費や設定費用など、初期費用が高額になりやすい傾向があります。
また、ハード面やソフト面で保守費用(作業費・人件費)などのランニングコストもかかります。
さらに電話機増設の際も専門業者による工事が必要になるため、拡張性が低いのもデメリットといえるでしょう。
クラウドPBXとは?
「クラウド(cloud)」とは、インターネットを活用してデータの保存・共有・管理などをネット上で可能にしたサービスのことです。
つまり、クラウドPBXとは「インターネット上のPBX」という意味になります。
クラウドPBXではPBXを社内に設置せず、クラウド上の仮想のPBXを利用します。
この仮想PBXにインターネットを通じてアクセスすることで、内線や外線などの電話機能が利用可能になります。
なお、クラウド型PBXは機器設置の有無によって、以下のように分類されます。
- VoIPゲートウェイを設置して利用するタイプ:「機器設置型クラウドPBX」
- 機器を設置しないタイプ:「フルクラウド型クラウドPBX」
クラウドPBXのメリット
クラウドPBXのメリットは、以下のとおりです。
- コスト削減
- 業務効率化につながる
- 災害時に強い
- 便利機能が豊富
この中でも1番のメリットは、コスト削減効果が高いこと。
導入に際しての設置・配線工事がほぼ不要になるので、初期費用を大幅に削減できます。
また、PBXがインターネット上にあるので、インターネット環境さえあれば、外出先でも会社の番号で内線が利用可能に。
通信費のコスト削減はもちろんのこと、業務効率の改善につながるのもメリットです。
クラウド上にPBXがあるため、災害時に物理的な破損が起こりにくいのもメリットといえます。
インターネットに接続していれば、電話業務をおこなうことができます。
クラウドPBXのデメリット
クラウドPBXにはメリットがたくさんある一方で、下記のようなデメリットもあります。
- 音質がネット環境に依存する
- 月額費用がかかる
クラウドPBXはインターネット環境を利用して通話をするため、通話品質が不安定になることがあります。
これは、フルクラウド型クラウドPBXで起こりやすい傾向があります。
また、初期費用は抑えられる一方で、オンプレミス型PBXにはなかった月額料金が発生してしまうのがデメリットになるでしょう。
クラウドPBXとオンプレミス型の違いを比較【全8項目】
クラウドPBXとオンプレミス型PBXの違いをより詳しく知るため、ここからは両者の違いを8項目に分けて解説します。
今回比較するのは、以下のポイントです。
- 初期費用
- ランニングコスト
- 導入のしやすさ
- 通話品質
- 業務における利便性
- 拡張性とカスタマイズ性
- メンテナンス・保守
- セキュリティ面
自社が大事にしたいポイントをチェックして、導入のヒントにつなげてください。
初期費用
初期費用は、圧倒的にクラウドPBXの方が安いです。
オンプレミス型PBXを導入する場合、電話機・PBXの購入、それぞれの設置費などが必要になります。
費用の一般的な相場は、以下のとおりです。
項目名 | 価格相場 |
---|---|
専用電話機(新品) | 10,000~40,000円/台 |
専用電話機(中古) | 10,000~20,000円/台 |
PBX(主装置) | 200,000円~/台 |
設置工事費 | 30,000~50,000円/台 |
それぞれ1台あたりの価格ですので、導入数が多くなるほど費用は膨らみます。
例えば、電話機10台を導入する小規模なオフィスの場合でも、少なくとも35〜60万円になるでしょう。
一方、クラウドPBXの場合、初期費用の相場は以下のとおりとなっています。
項目名 | 価格相場 |
---|---|
ライセンス料 | 20,000~50,000円 |
SIPフォン(置き型電話機) | 10,000~/台 |
工事費(光回線) ※専用アダプター設置など |
30,000円~ |
(※「SIPフォン」とはLANケーブルを接続して、インターネット回線で通話する電話機です。)
クラウドPBXを提供するメーカーによって初期費用は異なりますが、一般的にスマートフォンにアプリをインストールするタイプなら、かかるのはライセンス料のみ。
電話機やお手持ちのスマートフォン、パソコンを利用できるため、新たに端末を購入する必要はありません。
そのため、クラウドPBXは圧倒的に初期費用を抑えられるのです。
ランニングコスト
ランニングコストは、オンプレミス型PBXの方が安く抑えられます。
オンプレミス型PBXの場合は、もし購入時に一括で支払った場合、ランニングコストゼロがかかりません。
ただし、クラウドPBXはサブスクサービスなので、契約することで月額料金がかかってしまいます。
ランニングコストに含まれる通話料に関してはクラウドPBXの方が安いですが、そこまで大きな違いはありません。
オンプレミス型PBX | クラウドPBX(弊社サービス「OFFICE PHONE」の場合) | |
---|---|---|
固定電話 | 8.8円/3分 | 8円/3分 |
携帯電話 | 17.6円/1分 | 15.4円/1分 |
これらのことから、ランニングコストに関しては、オンプレミス型PBXの方が抑えられる傾向にあるといえます。
導入のしやすさ
導入のしやすさは、クラウドPBXの方が圧倒的に上です。
クラウドPBXの場合は、機器設置型クラウドPBXの場合でもVoIPゲートウェイを設置し、スマートフォンやパソコンに専用アプリをインストールするだけ。
フルクラウド型なら、機器設置の必要がありません。
大きな工事が必要ないため、メーカーによっても異なりますが最短で当日、遅くても5営業日程度で導入できます。
一方、オンプレミス型PBXの場合、ヒアリングから現地調査、契約、工事、設定などプロセスが多いため、最短でも1ヶ月程度かかってしまいます。
クラウドPBXは、電話システムを負担なくスピーディに導入することができます。
通話品質
通話品質は、オンプレミス型PBXがやや優れています。
オンプレミス型PBXは有線でそれぞれの電話機を繋いでいるため、通信環境に影響されないからです。
一方クラウドPBXは、インターネット通信に依存しているため、通信状態が悪い場所では通話品質が落ちてしまいます。
特に、フルクラウド型クラウドPBXはこの傾向が強いです。
ただし、機器設置型クラウドPBXであれば、ほとんどオンプレミス型PBXと変わらない通話品質で連絡できます。
通話品質はオンプレミス型PBXが多少上ですが、機器設置型クラウドPBXならそこまで大きな違いがないのが現状です。
クラウドPBXの通話品質について詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
業務における利便性
業務における利便性は、クラウドPBXの方が優れています。
オンプレミス型PBXの場合は、営業などで会社に不在のときに顧客からかかってきた電話には、オフィスに戻ってから折り返し連絡することになります。
そのため、電話一本のためにオフィスに戻るなどの手間がかかってしまうことも。
しかし、クラウドPBXならスマートフォンがビジネスフォンになるため、外出先でも社外からの電話を直接受けられます。
また、会社にかかってきた電話の取り次ぎもできるので、オフィスに戻る必要性がなくなるのです。
特に営業など外回りが多い会社にとっては、クラウドPBXを業務で使うと、利便性の恩恵が大きく得られるでしょう。
拡張性とカスタマイズ性
拡張性とカスタマイズ性に関しては、両者で大きな差はありません。
オンプレミス型PBXは、どのメーカーに関してもユニットを追加すれば機能のカスタマイズをしやすくなっています。
そのため、自社に合ったシステムを構築しやすいのがメリットといえます。
また、PBXの接続可能台数を超える拡張の場合には、機器の購入と大型工事が必要です。
そのため、時間とコストがかかってしまうのがデメリットでしょう。
一方クラウドPBXは、機能のカスタマイズはオプションとして追加できます。
ただし、オプションの有無や料金体系はメーカーのサービス内容に依存するため、注意が必要です。
台数の拡張はブラウザ上でサービス内容を変更するだけなので、手間はほとんどかかりません。
また、新たな設備を導入する必要もないため、コストも抑えられます。
今後増設の予定はあるのか、必要な機能は何なのかなど、自社のニーズに合わせて選ぶのがおすすめです。
メンテナンス・保守
メンテナンス・保守は、クラウドPBXの方が優れています。
クラウドPBXは、ネットワークなど一部専門知識が必要な部分もありますが、基本的に通信網や機器についての保守・メンテナンスはメーカー側で実施してくれます。
この保守・メンテナンス費用は月額料金に含まれているため、追加の料金は必要ありません。
オンプレミス型PBXは、専門的な工事や設定が必要なため、トラブルが発生した場合には専門業者への依頼が必要です。
ビジネスフォンは故障しにくいものの、耐用年数を超えた機器については故障のリスクが高まってしまいます。
※法定耐用年数:国が定めた固定資産を使える期間のこと。資産ごとに細かく定められている。ビジネスフォンの場合は6年。
当然ですが工事を依頼する際には、工事費や人件費など、費用がかかってしまいます。
修理が必要な場合には修理費がかかることも。
メンテナンス・保守に関しては基本的にメーカー側が行う、クラウドPBXが優れているといえるでしょう。
セキュリティ面
セキュリティ面は、両者ともに安全に使用できるため、そこまで違いはありません。
オンプレミス型PBXはインターネットを介さず、すべて社内ネットワークを利用するためサイバー攻撃のリスクは低いといえます。
オフィスのビジネス環境に適した独自のセキュリティ対策を行えば、サイバー攻撃の脅威は回避できるでしょう。
クラウドPBXはインターネットを利用するため、少し不安に思われる方もいるかもしれませんが、セキュリティは問題ありません。
クラウドPBXのメーカーが、不正アクセスやウイルス攻撃に対して、万全のセキュリティ対策を施しているからです。
実際にサイバー攻撃によるセキュリティ被害は、現状まで報告されていません。
ただし、 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表している「情報漏えい対策のしおり」によると、情報漏えいの原因の過半数は内部での対策不足やミスによるものです。
パスワードや端末の紛失、誤作動などの人為的なミスがなければ、クラウドPBXもオンプレミス型PBXと同等のセキュリティを期待できます。
クラウドPBXのセキュリティ面に関してもっと詳しく知りたい方はこちら!
クラウドPBX・オンプレミス型PBXどちらを選ぶべき?
クラウドPBXを選ぶか、オンプレミス型PBXを選ぶかは、「会社がどのような事業を行っているのか」、「社内にどのようなニーズがあるのか」が判断基準になります。
ここからは、クラウドPBX・オンプレミス型PBXがそれぞれどのような企業におすすめなのかを解説します。
オンプレミス型PBXがおすすめの企業
オンプレミス型PBXがおすすめなのは、電話の頻度が多くなく、外出先での電話やテレワークを必要としない会社です。
オンプレミス型PBXが活躍するのは、主に社内同士での内線や転送機能だからです。
初期費用は少し高くなりますが、安価な中古のビジネスフォンなど購入すれば、ランニングコストをゼロにすることも可能です。
社内に社員がほとんどいる環境であれば、オンプレミス型PBXの導入がよいでしょう。
クラウドPBXがおすすめの企業
クラウドPBXがおすすめなのは、以下のような企業です。
- テレワークを促進したい
- 外出先でも会社番号で受発信したい
- 法人携帯を社員に貸与している
- 頻繁に転送機能を使用している
特に、今後テレワークを促進したい企業にはクラウドPBXがピッタリ。
その理由は、クラウドPBXを導入すれば、離れた場所でも内線で連絡ができるからです。
内線なので通話料は無料で、通信費の削減効果が期待できます。
また、営業などで外出が多い社員が多い企業にもクラウドPBXは最適といえます。
スマートフォンがビジネスフォンになるため、外出先でも社外からの電話番号で受発信できるからです。
また、会社にかかってきた電話の取り次ぎもできるため、社外にいても顧客とスムーズに連絡が取れます。
業務効率化を図れるのはもちろん、ビジネスチャンスの損失を防ぐことにもつながります。
クラウドPBXの初期費用は少なくて済みますが、月額料金がかかる点には注意が必要です。
テレワークを促進したい、営業などで社外に出ることが多い企業は、クラウドPBXを導入すればコスト削減、業務効率の改善が期待できおすすめです。
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まとめ
オンプレミス型PBXとクラウドPBXの1番の違いは、PBXを社内に設置するか否かです。
ちょっとした違いに感じるかもしれませんが、これによりかかるコストや使い勝手が大きく変わります。
オンプレミス型PBXがおすすめなのは、外出先での電話やテレワークを必要としない企業。
社員同士の連絡が社内で完結するのであれば、初期費用の一括支払い・ランニングコストゼロで運用するのがおすすめです。
一方クラウドPBXは、スマートフォンがビジネスフォンになるので、離れた場所でも内線可能。
そのため、テレワークを促進したい企業や、営業などで社外に行くことが多い企業はクラウドPBXがおすすめです。
OFFICE110でも、クラウドPBX『OFFICE PHONE』をご提供しておりますので、導入でお悩みならぜひお気軽にご相談ください。
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