電気工事に法律があるって本当?素人作業は絶対にダメ!
機器の増設や社員の増員などに伴い、「ここにコンセントがあれば便利なのに…」とオフィス環境に不満が出ることはよくあります。コンセント1つ、照明器具1つ程度の電気工事であれば素人の自分でもできそうな気がしてきますよね?
事実、検索エンジンで「電気 工事 自分で」や「コンセント DIY」などと検索すると、電気工事に挑戦しました!といった内容の投稿を数多く見つけられます。ただ、電気工事に関していわゆる素人工事は罰則の対象になる危険があります。
今回は、電気工事に関する法律・知識について詳しくご紹介したいと思います。また、無資格の素人工事による危険性についてもまとめてみましょう。無資格は絶対ダメ!危険な電気工事をする前にぜひチェックしてみてください。
電気工事法って何?
皆さんは電気工事に法律があるのをご存知でしょうか? それこそ「電気工事法」という法律です。つまり、素人による電気工事は法律により規制されています。では、電気工事法とはどのような法律なのか詳しくご紹介しましょう。
電気工事の法律とは
昭和35年8月1日、電気工事による事故や犯罪を防ぐために電気工事の従事を規制する法律「電気工事法」が制定されました。電気工事法により電気工事に関する工事を行えるのは一部の作業を除いて有資格者のみです。
また、電気工事法の他に電気関連には「電気工事行法」「電気事業法」「電気用品安全法」なども制定されています。一見すると誰でも挑戦できそうな電気工事、法律で規制する必要のあるほど危険なものであること分かります。
電気工事法の必要性
電気工事法の主な目的は素人(無資格者)による危険な工事を防ぐというものです。素人から見ると配線を繋ぐだけと単純な作業である電気工事ですが、「電気」という目に見えない物質を扱うからこその危険性が潜んでいます。
日本の家庭用電圧は100Vと世界的に見ても低く設定されています。それでも感電すれば心臓や脳にダメージが。漏電すれば火災につながる危険性が常にあります。電気工事は適切に行われないと周りにまで被害を及ぼすのです。
電気工事法に関わる工事内容
電気工事法はすべての作業を規制しているわけではありません。電気工事法では主に「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物(500kw未満)」とされています。500kwとは工場などで使用される電気工作物などのことです。
反対に電気工事法に関わらない作業内容もあります。例えば、ソケット(差込口)に電子機器を取り付けたり電球を取り替えたりといった「軽微な作業」が挙げられます。軽微な作業の内容については、この後に詳しく紹介しましょう。
電気工事法に関する国家資格
電気工事法と呼ばれる法律では、電気工事に従事するためには「国家資格」の取得を義務付けています。ただ、一口に国家資格といっても主に4つの種類が。では、電気工事法に関する国家資格の種類と内容を見ていきましょう。
第2種電気工事士
電気工事に従事するならまず取得しておきたいのが「第2種電気工事士」です。電気工事法により定められた電気工事に関する国家資格で登竜門的な存在と言えます。主に一般用電気工作物に関する電気工事を行えます。
電気工事士には電気工事に関する適切な作業手順や工具の種類などはもちろん、感電事故の予防や火災事故への対処法などの知識が求められます。第2種電気工事士の資格があれば一般的な作業は安全にこなせる訳です。
第1種電気工事士
第2種電気工事士の上位に当たるのが「第1種電気工事士」の資格です。法律に定められた国家資格であるのはもちろん、第2種電気工事士では対応できない商業施設や工場施設など自家用電気工作物に関する工事を行えます。
当然、第2種電気工事士以上に深い電気工事に関する技術、感電事故や火災事故への知識が求められます。特殊な電気工事には対応していないものの、オフィスに関係するものなら第1種電気工事士に任せておけば安心です。
認定電気工事従事者
電気工事士では対応できない部分の電気工事に関わるのが「認定電気工事従事者」です。最大500kw未満(600V以下)で使用される設備の作業に関われる国家資格で、主にビル設備の工事を担当しています。
反対に、最大電圧500kw以上と高圧部分、または特殊電気工事(ネオン工事など)には関われません。認定電気工事従事者にまでなると、まず大型設備を担当していてオフィス関係の工事には関わることはないと言えます。
特殊電気工事資格者
名前の通り、電気工事のなかでもとりわけ特殊とされる作業に関わるのが「特殊電気工事資格者」です。例えば、ネオンサインの取り付けに関わる「ネオン工事」や病院や省庁に設置されている「非常用予備発電装置工事」などが該当します。
当然ですが、オフィス関係の電気工事としてはまず関わりません。また、特殊機器を扱うだけに細かく分類されていて「ネオン用」や「非常用予備発電装置用」など作業内容に合わせて別々の国家資格を取得する必要があります。
電気工事法に定められた工事範囲
先述した通り、電気工事に関する国家資格としても種類によって作業範囲は様々です。オフィスに関する電気工事であれば「電気工事士」まででしょう。では、電気工事法に定められた電気工事の範囲について詳しく見ていきましょう。
無資格でできる工事範囲
電気工事法では主に、電気工事に当たるものと軽微な工事(電気工事に当たらないもの)の大きく2種類に分類しています。以下に、法律で定められた無資格(軽微な工事)の工事範囲をまとめました。
- ソケットやローゼットなどの受け口(接続器)で600V以下で使用するもの
- 蓄電池(端子の接続)の中でも600V以下で使用されるもの
- ブレーカー(電流制限器)やヒューズで600V以下で使用するもの
- インターホンや豆電球などに関わる小型変圧器に関わるもの
- 電柱や腕木の設置や変更に関わるもの
ポイントは「600V以下」ということ。
例えば、照明器具の取り換えやエアコン(一部のみ)の取り付けなどが法律外の工事範囲と言えます。コンセントや配線など、壁の中まで関わる工事は法律で規制されていると考えた方が良いでしょう。
無資格だと法律で罰せられるかも
電気工事士法によると、無資格での電気工事には「3万円以下の罰金、または3カ月以下の懲役」が科せられるとのこと。また、電気工事業法によると、無登録・無更新での営業には「10万円以下の罰金、または1年以下の懲役」となります。
正直、無資格・無登録による電気工事の危険性に比べて、法律による規制・罰則は軽いものであると言えます。この後、詳しくご紹介しますがいくら規制・罰則が軽いものだからとしても、素人による電気工事は絶対に止めましょう。
無資格での素人工事は危険!
電気工事は無資格で行うと法律により罰則が科せられます。ただ、仮に罰則がなくとも素人による電気工事は絶対に止めましょう。というのも、実際に素人が電気工事を行ったことで火災事故や感電事故に繋がったケースがあるのです。
素人工事で危うく火事に!?
換気用のファンの調子が悪いとのことで配線を調べてみると、配線同士の位置が近すぎてショートし危うく火事になるところだったという事例があります。
電気の通っている配線は熱を持ちやすく、束になるとショートする原因です。仮に、壁の中で火が上がっても気付きにくく、気づいた時には手遅れ…ということもあり素人工事の危険性がよく分かります。
不用意に配線に触れて感電死
ネットで購入した照明器具を取り付けようと配線の皮膜(動線を守るカバー)を剥がし、不用意に触れたことで感電死したという事例があります。日本は基本的に100Vと低めの設定ですが、感電すれば死に至ることは十分にあります。また、配線などでの感電中は筋肉が収縮して自分では手が離せなくなるので非常に危険です。
まとめ
今回は、電気工事に関する法律と素人工事の危険性についてまとめてみました。電気工事は「電気工事法」と呼ばれる法律により素人の作業が規制されています。仮に、違反すると罰金または懲役刑が科せられることに。
例え、罰則が科せられなくとも、素人の電気工事は火災や感電につながる危険な行為です。オフィスはもちろん、自宅での電気工事も専門業者に依頼しましょう。「どこに依頼すれば?」という方は、ぜひOFFICE110へご連絡ください。
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